私が20歳の時の話です。
成人式を翌月に控えた12月の中頃、
父親の経営する会社が倒産しました。

アルバイトを終え自宅に帰ると、
父親、母親、兄の3人が
深刻な顔で話をしていました。
父は私に「お父さんの会社もうダメなんや。
2、3日中に荷物をまとめて
親戚の家に運んでくれ。」
と告げました。

細かいやり取りは忘れてしまいましたが、
平静を装いながらも「これからどうなるんだろう？」
「これから何が起こるんだろう？」と、
不安と恐怖で体がブルブルと震えていたことを
はっきりと覚えています。
昼間は目立つので、深夜になってから
兄弟で家財道具をトラックに積み込み、
親戚の家との間を何往復もしました。
一般的に言う「夜逃げ」です。

雪は降っていませんでしたが、
季節は冬であり年の暮れ。
寒さと眠さ、そして虚しさで
何度も泣きそうになりましたが、
兄も弟も同じ気持ちだと思い、私もぐっとこらえました。
当時は倒産や夜逃げなどはテレビの世界の出来事で、
降りかかった現実に、自分はなんて不幸なんだと
マイナスな事しか考えられませんでした。

しかし、社会に出てみると、私より辛い経験をした方、
私より大変な境遇の方が
たくさんいらっしゃることがわかりました。

そして今があるのは、
何のプラスもないのに家族を受け入れて頂いた親戚の方々、
バイト帰りに風呂や晩御飯を用意してくれた
友人や友人のお母さん、
「あんたらは良い経験をしたんやよ！負けるな！」と
応援してくださった方々、
その他、たくさんの方々から頂いた
心のこもったご支援のおかげだと思っております。

今後は私自身、そして家族が頂いた心のこもったご支援を、
一人でも多くの方にお返ししたい。
この気持ちでハートホームを創業しました。
小さな会社で小さなハートですが、
少しでも皆様のお役にたてればと思っております。